BibTeX活用術

はじめに

BibTeX活用術を最初に書いて、これまた環境もかなり変わりました。書誌データが、amazonやgoogle scholarなどで簡単に入るので、文献管理が非常に楽になりました。

また最近では、Endnoteをはじめとする文献管理ソフトも充実してきています。

一方で、BibTeXによる処理は古いという側面もあります。

近年、では、biblatex というものもあります。

文献目録は,論文やレポートを作成する際に引用した文章の文献や参考となった文献のリストのことで,著者名,本の表題,出版社名,発行年などをを巻末や章末にまとめて示しているものです。

自分の論文で、他人の論文を参考にした、引用した、ときには、参考文献として書くことは当然です。 (話題となった某論文騒動には唖然としましたが [worried]

LaTeX では,文献目録作成用にthebibliography環境が用意されています。 しかし、論文を書くたびに、毎回、文献目録を作成するのは大変です。BibTeX は、膨大な文献データベースから、引用文献のみを取り出して、文献目録を自動で作成し、しかも、スタイルファイルによって投稿論文にあった文献目録の書式に整えてくれるというすばらしい特徴を持っています。

そこで、ここでは、BibTeXを使った文献管理と引用について紹介したいと思います。

BibTeXには、欧文専用のbibtexと日本語文献にも対応したpbibtexがあります。(昔使われていたjbibTeXは、NTTjTeX用コマンドになったようです。platexとpbibtexで名前が統一されて良かったと思います。) ここでは,断りがない限りpbibtexを使用します。

文献データ

文献目録で使用するデータは、下のような bib ファイルというテキスト形式のファイルで管理します。

bib ファイル

#sh{{{ @article{ mye:1981,

	author	= {Roger B. Myerson},
	title 	= {Optimal Auction Design},
	journal	= {Mathematics of Operations Research},
	year	= {1981},
	volume	= {6},
	number	= {1},
	month	= {feb},
	pages	= {58-73}

} @incollection{ito2004,

	author	= {伊藤 秀史},
	yomi	= {いとうひでし},
	title	= {インセンティブ設計と社会的選好},
	booktitle = {現代経済学の潮流},
	editor	= {岩田 規久男 and 岩本 康志 and 本多 佑三 and 松井 彰彦},
	pages	= {29-52},
	publisher = {東洋経済新報社},
	year= {2004}

} }}}

※bibファイルはテキストエディタで編集し、拡張子を.bibとします。ここでは、文字コードはUTF-8を使うものとします。

各フィールドはダブルクォテーションで囲んでもかまいませんが、最近の傾向は{}で囲むようです。

bibファイルの中身

bib ファイルは次のような形式になっています.

#sh{{ @文献の種類{ 引用キー,

    フィールド名 = {フィールドの内容},
    フィールド名 = {フィールドの内容},
    …

} }}

bib ファイルはテキスト形式なので表計算ソフトによって管理・編集(後述)することができます。また、BibTeX は,LaTeX 文書で必要な文献のみを抽出して目録を作成するので、LaTeX 文書ごとに bib ファイルを作成する必要はありません。

bibファイルでは,まず文献の種類を指定します.文献の種類を正しく指定することで,BibTeX は,それぞれの文献の種類に応じた書式に変換します。それぞれの文献の種類がもつ情報は異なります。それゆえ、文献の種類にはいくつかのフィールドが用意されています.フィールドは次の3つに分類されます.

必須フィールド
文献の種類が必要としているフィールド.もしこのフィールドの記述がなければエラーメッセージが表示されます.
任意フィールド
省略可能なフィールド.
無視されるフィールド
文字通り無視されるフィールドであり,BibTeX には何の影響も与えありません.文献の概要などの情報を bib ファイルに自由に書き込むことが可能です。

フィールド

LaTeX で用意されている標準のスタイルで使用されるフィールドを紹介します。

addresspublisher などの住所
annote注釈.標準スタイルでは使用されありません.
author著者名
booktitle編者がいるバインドされた大きな本の一章節のみを引用したときの本のタイトル(それ自身に、タイトル、著者名が書いてある).(文献の種類が book の場合は,title を使用します.)
chapter章番号
crossref参照する文献のデータベースキー
edition本の版.洋書の場合は「Second」のように順序数を使用します.また頭文字は大文字で入力します.
editor編集者
howpublished出版物がどのようにして出版されたのかの説明.
institutiontechreport(テクニカル・レポート) のスポンサー
journal論文誌名
key著作に関する情報がない場合,ソート・相互参照・ラベル作成の処理に使われる.\cite で使用される引用キーではありません
month出版された月.省略形を使用します.(jan, feb, mar, apr, may, jun, jul, aug, sep, oct, nov, dec)
note付加的な情報の記述
number論文誌などの通し番号
organizationproceeding(会議録) のスポンサー,manual(マニュアル) を作成した機関
pagesページ範囲.「32--45」のように「-」(ダッシュ) を2本つけて指定します.
publisher出版社
schoolmastersthesis(修士論文), phdthesis(博士論文) が提出された学校
series出版物の一連のシリーズ名
title著作物のタイトル
typetechreport(テクニカル・レポート) の種類
volume論文誌の巻
year著作物の発行年
yomipBibTeX 独自のフィールド.著者のふりがなをつけることでソート・ラベル作成の処理に使う。

五十音順で並べたい場合はひらがな表記。アルファベット順で並べたい場合はローマ字表記します。

著者名・編集者名

authorやeditorはフルネームで記述します.ハイフン付きの人名にも対応しています.著者や編集者が複数いる場合は,名前を and で結びます。

入力例

#sh{{ Roger B. Myerson Jean-Jacques Laffont David Baron and David Besanko Partha Dasgupta and Peter Hammond and Eric Maskin }}

日本人の場合は,姓と名の間に半角スペースを入れておきます.

入力例

#sh{{ 奥野 正寛 and 鈴村 興太郎 }}

スタイルによっては所望の書式で出力されない場合がありますが,その場合は,所望の書式を直接 bib ファイルに記述することもできます.

入力例

#sh{{ R[oger] B. Myerson R. B. Myerson J. -J. Laffont }}

姓と名が離れないよう~(ティルダ)で結ぶこともあります。

入力例

#sh{{

}}

スタイルによっては自動で Myerson, R. B.と変換してくれるものがありますが,所望の出力にならない場合があるかもしれません。本来は、スタイルファイルでなんとかしなければなりませんが、急いでいるときなど非常時には、{ }を使って次のように出力を強制的に制御することができます。

入力例

#sh{{ {Myerson, R. B} {Baron, D. and D. Besanko} }}

よみがな

yomi を与えることにより,文献を著者名の五十音順やアルファベット順にソートすることができます.

入力例

#sh{{ yomi={おくのまさひろすずむらこうたろう} yomi={Masahiro Okuno and Kotaro Suzumura} }}

アルファベット表記において,日本語文献と英語文献を分けたい場合は,AAA を加えたり,ZZZを加えることで,ソートの順番を強引に変えてます。

入力例

#sh{{ yomi={Masahiro AAAOkuno and Kotaro Suzumura} yomi={Masahiro ZZZOkuno and Kotaro Suzumura} }}

フィールドに¥マークが必要なとき

óのようなアクセント付き文字を使用することができます。アクセント文字の命令は,LaTeX の命令と同じでありますが,\'o のように{ } で囲まれていない命令は,{ } で囲む必要があります.

入力例

#sh{{ Tomas Sj{\"o}str{\"o}m }}

タイトル

titleは,それぞれの単語の頭文字を大文字で入力しておくとよいでしょう.

入力例

#sh{{ The Economics of Regulation Ten Year After }} スタイルが必要に応じて、すべてを小文字にしたり、ダブルクォテーションをつけてくれたりします。ただし、スタイルによっては所望の出力結果が得られない場合があります。

本来はスタイルファイルの問題ですが、これも非常手段として、{ }によって出力を強制的に制御することもできます。

入力例

#sh{{ {``The Economics of Regulation Ten Year After''} }}

文献の種類

文献の種類は次の通りです.

  • article 論文誌の論文,雑誌の記事
    • 必須フィールド -- author, journal, title, year
    • 任意フィールド -- month, note, number, pages, volume
  • book 出版が明確な本
    • 必須フィールド -- (author または editor), title, publisher
    • 任意フィールド -- (volume または number), adress, edition, month, note, series
  • booklet 出版者あるいはスポンサーが分からない本
    • 必須フィールド -- title
    • 任意フィールド -- address, author, howpublished, month, not, year
  • inbook 章などの本の一部分
    • 必須フィールド -- (author または editor) (chapter または pages 両方指定も可), publisher, title, year
    • 任意フィールド -- (volume または number), address, edition, month, note, series, type
  • incollection それ自身が表題もっている本の一部分
    • 必須フィールド -- author, booktitle, publisher, title, , year
    • 任意フィールド -- (volume または number), address, chapter, edition, editor, month, note, pages, series, type
  • inproceeding (または,conference.Scribe との互換性のため) 会議録の論文
    • 必須フィールド -- author, booktitle, title, year
    • 任意フィールド -- (volume または number), address, editor, month, note, organization, pages, publisher, series
  • manual マニュアル
    • 必須フィールド -- title
    • 任意フィールド -- address, author, edition, month, note, organization, year
  • mastersthesis, phdthesis 修士論文, 博士論文
    • 必須フィールド -- author, school, title, year
    • 任意フィールド -- address, month, note, type
  • proceedings 会議録
    • 必須フィールド -- title, year
    • 任意フィールド -- (volume または number), address, editor, note. month, organization, publisher, series,
  • techreport 学校などで発行されているテクニカルレポート
    • 必須フィールド -- author, title, institution, year
    • 任意フィールド -- address, month, notenumber, type
  • unpublished 出版されていない著作物
    • 必須フィールド -- author, title, note
    • 任意フィールド -- month, year
  • misc 上のどれも当てはまらないもの
    • 必須フィールド -- なし
    • 任意フィールド -- author, title, howpublished, month, year, note

各文献の種類において,keyは、author などの記述がない場合、ソート・相互参照・ラベル作成の処理に使われるので記述しなければなりません.

引用キー

引用キーは\citeなど本文中で文献の出典を示すときに用いられます.引用キーは任意の名前を付けることができます.文献データの管理を容易くするために,規則性のある名前を付けるとよいでしょう。私は、著者名の頭3文字と西暦を「:」で結んでいます.しかし,このようなラベリングの場合,同じラベルが生じることもあります.そのようなときアルファベットで区別しています.

入力例

#sh{{ sjo:1996a sjo:1996b matsushima:1996 }}


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Last-modified: 2014-10-14 (火) 16:20:41 (1320d)